宮廷女官チャングムは実在人物なのか?
人気歴史ドラマ《宮廷女官チャングムの誓い》の主人公大長今についてご紹介!
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2003年から2004年まで放送された韓国歴史ドラマ《宮廷女官チャングムの誓い》。
俳優イ・ヨンエをスターにした作品であり、《冬のソナタ》に加えて元祖韓流ドラマというくらい人気のドラマです。
当時平均視聴率は45.8%、最高視聴率は57.1%を記録し、日本、中国、中東など海外にも輸出され120億ウォンの高収入を達成しました
今回は最高の人気を誇ったMBCドラマ《宮廷女官チャングムの誓い》がどんな歴史的背景を基に作られ、どこまでが事実なのかを徹底解説していきます
宮廷女官チャングムの誓いのあらすじ
出典:MBC《宮廷女官チャングムの誓い》
宮殿のキッチンで働くお母さんの下に生まれたチャングムは絶対味覚を持って生まれ、天才的な料理の腕を持ちました。
チャングムは幼い頃から宮殿に入り料理をしましたが、彼女の実力を嫉妬した人たちの陰謀により済州島に追放されます
出典:MBC《宮廷女官チャングムの誓い》
済州島で生活をしていたチャングムは医療を学ぶことになり、試行錯誤の後再び宮殿に入って医師として活動することになります。
医療も優れた腕前で中宗の主治医になり最高の境地にまでのし上がります
どこまでが事実か?
1. チャングムは中宗実録に登場する実在人物
出典:MUSEUM NEWS
中宗の生涯を記録した中宗実録に「チャングム」という名前が何度も登場します。
1515年3月21日の記録に初めて登場しました
中宗の2番目の王妃である章敬王后が元子(王の息子)を生んで死亡しましたが、当時王妃の出産を助けた人物の内の一人としてチャングムの名前が書かれたのです。
ドラマ《宮廷女官チャングムの誓い》はこの中宗実録に登場する歴史的人物を基に制作されました。
出典:MBC《宮廷女官チャングムの誓い》
その後もチャングムが中宗を診察する内容が登場し、1544年10月29日を最後に実録から姿を消します。
そしてその後すぐである同年11月15日に中宗が死亡しました
2. 景福宮焼厨房
出典:천지일보
ドラマでチャングムが王のためのご飯を作った空間である「焼厨房」は実際に景福宮に復元されています。
出典:연합뉴스
焼厨房には王室の家族の料理を準備する内焼厨房と宮中料理を準備した外焼厨房、飲み物や軽食を準備した生果房があります。
実際に景福宮焼厨房の生果房に行くと、宮殿の風景を眺めながら宮中菓子を食べる体験ができます
(※現在はコロナの影響で予約制となっています。)
出典:MBC《宮廷女官チャングムの誓い》
王の食事を「水刺(수라)」と呼び、ドラマでは宮中のキッチンを「水刺間(수라간)」と呼んでいたので、こちらがより馴染みがあるはずです。
しかし公式的な文献では焼厨房という単語を使用し、水刺間は料理業務を企画した場所のこととして知られており、実際の用語とドラマので使われた用語は少し異なります
3. 宮廷女官医師「医女」
出典:SBS《女人天下》
儒教社会だった朝鮮は男性と女性の身体的な接触を禁止していたため、当時男性が女性を治療することは難しいことでした。
直接的な接触を避けるために医師たちは王室の女性患者の手首に紐を結び、そのひもを通して脈拍をとったほどです
出典:MBC《馬医》
また社会的認識のせいで女性患者が男性医師に治療を受けることを拒む場合が多く、病が深刻化したり死亡したりすることもあったと言います。
そのため太宗の時に宮廷の女性患者を治療する女性医師「医女」が誕生しました
出典:MBC《宮廷女官チャングムの誓い》
しかし医女だからと言って女性患者だけを担当していたわけではありません。
ドラマの中でチャングムは中宗の診察を担当した通り、実際にありふれたことではありませんでしたが王の診察を担当した医女もいたそうです
4. 中宗から信頼されていたチャングム
出典:MBC《宮廷女官チャングムの誓い》
チャングムが中宗の主治医を担当したという公的な記録はありませんが、中宗がチャングムをとても信頼していたことが実録を通して分かっています。
出典:MBC《宮廷女官チャングムの誓い》
朝鮮時代には王の治療は男性医師がほとんど行っていました。
しかし中宗は男性医師の代わりにチャングムに脈、診察、薬の処方などの重要な業務を全て任せました
そのため男性医師が医女の浅い知識では王を治療できないと自分が担当すると言いましたが、中宗は彼を拒否しチャングムに治療を受けました。
5. ソチャングムとテチャングム
出典:LampCook
韓国でのドラマのタイトルは《大長今(テチャングム)》ですが、実際のキャラクターの名前は「ソチャングム」と知られています。
テチャングムという単語はドラマだけでなく、中宗実録にも登場します
中宗実録に10回ほどチャングムが言及されるのですが、その内テチャングムという名前が5回言及され、彼女がお給料としてもらった穀物の量が記録されています。
つまりソチャングムという実在人物が医女として残した業績を認められ、王からテ(大)チャングムという名前をもらったと予測されています
しかしどんなに優れた人物だったとしても王がこのような名前を付けることはあり得ないと主張する意見もあります。
その代わり当時宮廷でチャングムという人が2人いたため、背が大きいチャングムと背が小さいチャングムに分けたのではないかという説も
実際のテチャングムの意味が偉大なチャングムなのか、背が高いチャングムなのかは確認する方法がありませんが、記録にテチャングムという名前が登場することは確かです!
ドラマと実際の歴史の違い
1. チャングムは料理人ではない
出典:MBC《宮廷女官チャングムの誓い》
実際にはチャングムが宮中料理人として働いたという記録は全くありません。
出典:MBC《宮廷女官チャングムの誓い》
ドラマが放送されてから韓国では料理上手な人にチャングムというあだ名を付けるくらい「チャングム=天才料理人」という認識が強いです
しかし実際の人物は医療のみ担当したそうです。
チャングムが焼厨房で調理師たちと戦うストーリーはドラマに楽しさを追加するためのフィクションでした
2. 実際の焼厨房の様子
出典:MBC《宮廷女官チャングムの誓い》
ドラマによって宮中料理を作る仕事は女性が担当したというイメージが根付きました。
しかし実際にはこの業務はかなりの重労働なため、ほとんどが男性だったそうです
出典:tvN《哲仁王后》
宮中料理の総責任者だった「待令熟手(대령숙수)」は男性調理師でした。
彼らは毎日の王室の5回の食事の責任を負うだけでなく、その他の軽食、お酒とおつまみ、祝辞料理、接待料理など様々な料理を準備しました。
当時はガスが無かったため、火を直接焚いたり水を井戸から汲んできたりなど手間のかかる作業ばかりで、1日に2チーム交代制で行っていたそうです
出典:문화재청
経国大典によると、焼厨房の男女比率は14:1で、男性の比率が圧倒的でした。
主に女性はテーブルの準備をしていたそうです。
実際にはチャングムが調理師でなかった点と女性が宮中料理を作っていなかった点がドラマと現実の大きな違いだと言えます
結論
出典:MBC《宮廷女官チャングムの誓い》
ドラマで描写されたチャングムの姿は、実際の歴史的人物に基づいていますが、調理師のチャングムは完全にフィクションでした。
大体の人がチャングムと言えば医師よりも調理師としての姿を思い浮かべるはずなので、少し衝撃的です
しかしもし調理師としてのチャングムの姿が無かったら、ドラマがここまで成功していなかったかもしれません。
歴史ドラマは正確な歴史を伝達することも必要ですが、想像力を発揮し豊富なストーリーを創り出すことも重要だということが《宮廷女官チャングムの誓い》を通して分かりました
今回は宮廷女官チャングムは実在人物なのか?についてご紹介しました。
いかがだったでしょうか?
ドラマ《宮廷女官チャングムの誓い》についてより詳しく知れましたね
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