韓国のパンチャン(おかず)文化
韓国料理店には欠かせない「パンチャン」が人気の理由は歴史と関係がある?それとも韓国国民の「情」文化のため?
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韓国料理店の最大の魅力の一つ、無料でお替り自由の「パンチャン(반찬)」
日本語に訳すと「おかず」となりなりますが、なぜ韓国料理店ではお替り自由のパンチャンを無料で提供できるのか疑問に思ったことはありませんか?
実は、これは韓国の歴史的発展や国民性と密接な関係があったのです!
今回は韓国のパンチャン文化を学んで、食べ放題の理由を解き明かして見ましょう
韓国のパンチャン(おかず)文化
1. 最も一般的なものは「キムチ」
韓国料理店に入るとパンチャンとして必ず出てくるのは、なんといっても「キムチ」。
韓国は日本と同じく高緯度に位置しているため、冬はとても寒く、野菜を育てることができません。
そのため、昔から韓国人は収穫した野菜を壺に漬け込んで、地下で保存し、冬でも家族全員が野菜を食べられるように工夫していました。
これがキムチ(漬物)の原点で、韓国独特の食文化が形成されていきました
白菜から作られる韓国料理の代表格「白菜キムチ」に加えて、大根やキュウリから作られた「カッテギ」や「オイキムチ」もとっても人気
キムチは当初、水に浸していたことから「チムチェ(침채)」と呼ばれていて、当時は大根の漬物が主流だったと推測されています。
今日の韓国人にとって、キムチは生活に欠かせないものになっていて、たくさんの家庭が一年中キムチを食べられるようにたくさん作り置きしています
韓国人はこれを「우리는 하나(私たちはひとつ)」精神の象徴だと考えているのだとか
2. 他の一般的なパンチャン
キムチの他にも韓国の一般的なパンチャンとして、もやしやキュウリのナムル、ごまの葉の醬油漬けなどがあります。
より高級な韓国料理店では卵焼き、トッポッキ、カンジャンケジャンなどが出てくるところも
韓国ではメイン料理に加えて、まばゆいばかりのパンチャンがずらっとテーブルがいっぱいに並ぶので、ボリュームたっぷり
日本では注文した料理の他に無料のおかずが出てくることはほとんどありませんよね。
お客さんに「より充実した美味しい食事」と感じてもらうために、パンチャンには力を入れている韓国料理店がたくさんあります。
また、パンチャンは自家製のところも多く、親しみやすく豊富な食材で栄養の豊かさを演出しています
キムチの他にもお母さんやおばあちゃんが作ったおかずがたくさん並ぶ、お家の食卓の雰囲気とよく似ていて、パンチャン、簡単なメイン料理、ご飯一杯でお腹いっぱいになる食事を楽しみます
3. 韓国人はたくさんのパンチャンを自宅で作っているの?
韓国では小家族数の増加に伴い、家族全員が集まってキムチや漬物を作る光景はますます少なくなってきています
キムチを漬け込む行事「キムジャン(김장)」の時期になると、一度に大量のキムチをつけて親戚中に配ります
現代の韓国にとって、キムチを作ることはもはや「冬の備え」を目的としているのではなく、家族や親戚をつなぐ「愛情の絆」のようなもの
キムチを作る文化が徐々に衰退しているのではなく、韓国のキムチ文化が徐々に「情」を表すものになってきていて、親にとってキムチを作り子供たちの家庭に配ることは、子どもたちのお世話することと同じなのです。
現在、伝統的な市場やスーパーで売られているパンチャンはどんどん多様化してきていて、いろんな種類の好みのパンチャンが買えます。
キムチも1kgや2kg単位で安く販売されています
4. なぜ食べ放題のパンチャンを提供しているの?
韓国料理店の一番いいところは、パンチャンがおかわり自由なところ
もっとパンチャンが食べたい時は、手を挙げ、お替りしたいパンチャンを指さして「이거 더 주세요(イゴ ト ジュセヨ)」と言うと、店員さんがすぐに空のお皿をいっぱいにして持って来てくれます!
しかし、なぜこのような食文化が韓国で人気があるのか、皆さん疑問に思ったことはありませんか?
これにはサービス品質の向上、顧客満足など、さまざまな理由がありますが、結局ほとんどの韓国人にとって「パンチャンおかわり自由」は幼いころから染みついている文化だからです。
なので、韓国人はパンチャンがお替りできないお店に出くわすと、不思議に思ってしまいます。
その中で最も影響を与えたと言われている理由の一つは、韓国経済が困難な時代、白米はキムチやパンチャンよりもはるかに高価だったということが挙げられています。
家でも外食をするときでも、一杯のご飯を食べ終えてもお腹が満たされないことも多くありました
「もう一杯ご飯をください」とはなかなか言いづらかった時代ですが、お腹いっぱいに食べてほしいという思いから、パンチャンのお替りは快く提供していたそう。
この情文化が発達し、朝鮮戦争、戦後復興期、金融危機など、韓国史上最も困難な時期を経て「お米には限りがあるが、パンチャンは続けていける」という意識になっていたそうです。
また韓国人は店員に「おばさん!」と声を掛けるとき「アジュンマ(아줌마)」と言うのではなく、親戚のおばさんという意味の「イモ(이모)」という言葉を使い、お互いに思いやりを持つ習慣が築かれていきました
現代でも安い韓国料理店は高齢者、ドライバー、学生に人気があります。
学生が大好きな低価格のビッフェや、運転手食堂など、人気のお店の共通点はおかわり自由であること
お腹を空かせた人にパンチャンのおかわりをさせてくれることも、韓国では「情」と呼んでいます。
5. なぜパンチャンを無制限に提供できるの?
韓国人の一般的な特徴として、おかず食べ放題のお店でも、ほとんど1~2回お替りをしたら(本当に好みの味付けか好きな物以外は)追加はしません。
食べ放題も「お腹がいっぱいになる」ために利用するのであって「元を取る」という認識とは違います。
運営コスト削減のためにパンチャンのおかわり自由制度を変えてほしいとの要望もありましたが、この古い習慣は韓国民族同士の「情(정)」が起点となって、お互いに支え合っていた時代から始まったものなので、コストが原因で習慣を改めることはできないという不満の声もあるそう。
そのため最近の韓国料理店では、自分で食べられる量だけ取れる「セルフサービス」式を取り入れて、ホールサービスの負担も減らしながらコストを抑える工夫をしているお店もたくさんあります
国内外で韓国料理が愛されている理由の一つは、美味しいパンチャンがほぼすべて食べ放題だからだそうです
今回は、韓国のパンチャンの起源や食べ放題の理由についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
韓国文化をもっと気に入っていただければ幸いです
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