韓国のお葬式文化
なぜにぎやかな雰囲気が必要なのか、どうして3日間行われるのか、韓国特有の葬式文化をご紹介!
出典 : MBC『무한도전』
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死者に対する礼儀を表し冥福を祈る
「お葬式(장례식:ジャンレシㇰ)」
韓国のお葬礼文化では他の国と少し違う特徴があります。
今回は、韓国のお葬式でしか見られない独特な雰囲気、そしてもしお葬式に参列する時の知っておくべき礼儀とお葬式の流れまでご紹介します
1. 憂鬱な雰囲気ではない
韓国のお葬式で見られる特徴の一つは「憂鬱ではない雰囲気」です。
韓国のお葬式は他の国と違って雰囲気が重くなく、みんなが涙を流して悲しむこともありません。
一体なぜでしょうか?
韓国のお葬式の雰囲気が他の国と少し違う理由をご紹介します
・死者を称えるだけではない
韓国人はあまり会わない遠い親戚、会ったことのない友達のおばあさんなど、親しくない人の葬式にも出席することがあります。
なぜよく知りもしない人の葬儀に参列するのでしょうか?
それは「残った人に対する慰労」をするためです
亡くなった方はよく知らない人でも、その方を亡くし悲しむ家族、友人、知人のために席に出席し、そばにいながら慰めます。
当然悲しみはありますが、それを敢えて遺族の前で顔に出さないようにします。
つまり、韓国人にとってお葬式は亡くなった方の為だけではなく、残された人の為の場でもあるのです。
・花札をしたりお酒を飲む
韓国のお葬式で花札をする人をよく見かけます。
亡くなった人を哀悼する場でゲームをするのは良くないと思われるかもしれませんが、ここにも深い理由があります
出典 : 아수라
韓国では伝統的に亡くなってから3日間、葬儀を執り行う「三日葬(3일장)」であるため、遺族と近い親戚や知人たちは葬式の間中、徹夜する場合が多く、身体的にもとても疲れます。
大変な状況でも葬儀場を守り弔問客を迎えるために、花札をしながら眠気を追い払うのです
また、接客室(焼香所以外の人を迎える所)は弔問客がたくさん来て、遅くまで残ってその場を守ってくれるのが礼儀なので、花札をしてお酒を飲みながら共に時間を過ごします。
・簡単な食事が提供される
韓国のお葬式では簡単な食事を提供します。
これは遺族側が葬儀に来てくれた人に対する感謝を食べ物で伝えるためです
また、どんなに忙しくても参列者は食事を済ませてから行くのが礼儀なのですが、
これは単なる食事以上の意味があり、食事をする時間が遺族に安否を伝え、慰労するという目的があります。
食事の基本的なメニューはユッケジャン、チヂミ、豚スユク、果物などです
上のように、憂鬱ではない韓国のお葬式は伝統的に受け継がれてきた文化です。
それは韓国の重要無形文化財に指定された「다시래기(タシレギ)」文化からも、その歴史を見ることができます。
「タシレギ」は過去に存在した遊びの名前で、葬儀の時に村の人々が遺族を慰めるために面白い話をしたり歌を歌う遊びです
歌詞を聞いてみると、
「この家で祝宴が起こったから、一度遊んでいこう。」
で始まる驚くような歌詞のものがたくさんあります
衝撃的ですが、当時の人々が悲しみを乗り越えるため、どんな努力をしたのかも感じられます
「タシレギ」は現在、実際には存在せず、文化遺産としてしか残っていませんが、今もこのようににぎやかで寂しくないように葬儀を執り行おうとする韓国のお葬式文化が残っています
最近放送されたIU主演の『マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜(나의 아저씨)』でもその様子を垣間見ることができます。
劇中でおばあさんが亡くなり、寂しく祭壇を守るジアンのために、サンフンはいっぱいの花輪と周りの知人を呼んで静かで寂しかった葬式場を宴会の雰囲気に変えてジアンを慰めました。
また、その姿を見てジアンの知人であるおじいさんは『おばあさんは福がある。』とつぶやきます。
このように韓国のお葬式は静かに執り行われるではなく、人がたくさん来てあまり悲しまないように送るのが良いとされています。
亡くなった方の為の場というだけではなく、残された人を慰める場だということをもう一度感じますね
2.お葬式に参列する時
韓国のお葬式文化について理解した後は、実際に葬儀に参列する時はどうすればいいのか、どんな礼儀を守るべきかも知っておきたいですよね。
初めてお葬式に行く時には当然、お香典はいつ・いくら払うべきなのか、挨拶はどうすればいいのか、どんな服を着たらいいのかなど、気がかりなことが生じるものです
今回はそんな疑問を全部解決していきましょう!
・조의금(弔慰金・お香典)
いくら?
韓国では伝統的には死と関連した奇数を利用して3、5、7、10(3+7だから良い数字という考え)万ウォンに合わせます。
最近は物価が上がって5万ウォンまたは10万ウォンを入れることが多いのですが、
親しくない人なら5万ウォン、親しかったり、近しい関係ならば10万ウォン(もしくはそれ以上)を出すと考えればいいと思います!
出典 : 쿠팡
どうやって?
金額を決めたら、弔慰金を封筒に入れます。
そして封筒にもきちんと記入する文句があります
封筒の表に부의(賻儀)、부조(謹弔)、추모(追慕)、추도(追悼)、애도(哀悼)、위령(慰霊)のうち一つを書きます。
裏面には縦書きで自分の名前を書きます。
また、故人の冥福を祈るメッセージを書く場合は、右側の真ん中に書きます。
いつ?
伝統的にお香典は葬儀場に入ってお辞儀をし、喪主と挨拶をしてから渡すのが基本ですが、
最近では葬儀場の入口で芳名録に署名をした後、渡す場合の方が多いです。
・服装
出典 : KBS『세상에서 제일 예쁜 내 딸』
喪主/遺族:主に男性は黒いスーツ、女性は黒い改良韓服を着ます。
喪主は喪主であることを意味する腕章を付け、女性は白いリボンのヘアピンを付けます。
弔問客:黒いスーツや暗い色の服を着用します。
男女共に素肌が見える服はマナー違反なので、ズボンを履いている場合は黒い靴下、スカートを履いている場合はストッキングを履きます。
そして、スリッパや運動靴は避けた方が良いでしょう
・弔いの方法
1.入場
普通、葬儀場に行くと、遺族の方々は前に出て弔問客を迎えます。
焼香所に入って喪主と軽く目礼をし、芳名録に自分の名前を書きます。
あらかじめ準備したお香典を渡します。
※この時喪主に握手を求めてはいけません!
握手には会えて嬉しいという意味が込められており、葬儀場ではマナー違反なので注意してください!
2.弔問
喪主と挨拶を終えたら、靴を脱いで焼香所に入り、遺影写真の近くでお香を焚いたり、菊の花を捧げます。
3.절(チョㇽ:お辞儀)
焼香と献花のうち一つを終えたら、遺影に向かってお辞儀をします。
お辞儀は手を合わせて目の高さまで上げた後、ゆっくり腰を曲げてひざまずき、頭を下まで下げます
また、死んだ人に対するお辞儀と生きた人に対するお辞儀で回数が違ってくるので注意が必要です。
葬儀場では2回お辞儀をします。
2回:死者へのお辞儀(葬儀、祭祀)
3回:生きている人に対して行うお辞儀(旧正月、秋夕などの名節)
出典 : TVN 『나의 아저씨』
・葬儀の流れ
出典 : 한국장례문화진흥원
韓国のお葬式は他の国と違い、主に3日間続けて行われます。
3日間のお葬式が終わると遺体を火葬します。
火葬場で亡くなった方の遺体を燃やし、遺骨を粉骨箱に入れて遺族に渡され終わりとなります。
葬儀場と違い火葬場には主に家族など関係の近い人だけが参列します。
遺骨はお墓に埋めたり納骨堂に安置させるのですが、方法は人によって様々あります。
出典 : 신과 함께
仏教を信仰している場合、葬儀を終えた49日後に「49祭(49제)」と呼ばれる祭祀を行います。
(日本で言う四十九日)
韓国映画『神と共に(신과 함께)』はご覧になりましたか?
この映画では死んだ後、あの世で49日間、この世の罪の審判を受ける様子が描かれています。
このように49日が過ぎると、死者の物や服を燃やして祭祀を行い、死者がこの世に未練を持たないように送り出して、葬儀が終了します。
以上、韓国のお葬式文化と葬儀場での礼儀、葬儀の流れまで見ていきました。
韓国のお葬式文化について理解できましたでしょうか?
韓国についてもっと深く知るきっかけになればと思います
ここまで、韓国のお葬式文化についての記事でした。お問い合わせ事項がある場合、本ブログ記事のコメント欄にご記入いただくか、help@creatrip.com までメールもしくは、公式ライン@creatripまでメッセージを送ってください。