韓国のトロット文化
なぜ韓国の伝統的な音楽「トロット」が再び人気を呼んでいるのか?韓国のトロット文化をご紹介!
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どの国を見ても、その国の一番の遺産は、音楽や絵画から受け継がれた芸術と文化ではないでしょうか?
絵画は時間の経過につれ本来の色はあせていき 音楽には形が無く、メロディーやパフォーマンス、歌が口から口へと受け継がれていきます
今回は、韓国の伝統的な歌謡「トロット」をご紹介します!
最近韓国のトレンドとして注目されており、Kpopアイドルとは真逆のスタイルですが、一体どんな魅力があるのでしょうか?
韓国のトロット文化
トロットの起源
韓国の伝統的な歌謡「トロット(트로트)」は、20世紀初頭の朝鮮帝国の終わりにまでさかのぼります。
定義としてトロットを説明することは難しく、韓国式の演歌でも、日本の演歌でも、民謡でもありません。
当時、大衆文化の人気を博していた韓国ならではの音楽ジャンルです
初期のトロットは独特なスケールを使用し、非常にユニークな感覚を持っていました。
時が経つにつれ、今日ではペンタトニックスケールだけでなく、バラードやロックなど、とても多様なリズムがあります
李蘭影(イ・ナヨン)
木浦の涙(1935)
トロットの発展初期は日本の植民地時代でもあり、記録装置や西洋の影響を受けた日本の文化が韓国に流入し、トロットに変化をもたらしました。
一部の韓国人は、この時代の音楽はトロットとは言えないという意見や、むしろ西洋、日本、そして現代の韓国の各地域の特色を組み合わせたポップミュージックだという意見もありました。
しかし、日本歌謡の影響を受け、韓国歌謡も徐々に発展・定着していったため、日本の歌謡(特に演歌)と似ていることは否定できません。
日本から独立した後、今までのトロット作品を振り返った時、当時の韓国歌謡は現地の人々の感情というよりも、より親日的なものが多く、トロットと呼ぶのにふさわしくないという批判が多くありました。
南仁樹(ナム・インス)
哀愁の小夜曲(1937)
日本による植民地時代は、韓国の文化や思想を無くそうとしていた時代であり、韓国の特性を合わせた曲を作るのは本当に難かしく、歌の内容は親日的で日本人らしいものでした。
そして韓国は独立と朝鮮戦争直後の1950年代を分岐点として、トロットは本格的に発展していきます。
李蘭影(イ・ナヨン)
木浦の涙(1935)
トロットの発展
南仁樹(ナム・インス)
別れの釜山停車場
1950年代、日本の統治が終わり、朝鮮戦争が終結した後、政府や民間団体は、この日本的基盤を無くし、韓国ならではのユニークな特徴を作り出そうとしました。
このような音楽が次第に認められ、当時の韓国音楽界でも大勢を占めるようになり、韓国人にも広く知れ渡ったトロットになりました。
朝鮮戦争後、1954年に李海燕(イ・ヘヨン)が出版した「断腸のミアリ峠」は、韓国で最も古典的な別れの象徴的なトロットとして挙げられています。
李海燕(イ・ヘヨン)
断腸のミアリ峠(1954)
1970年代に韓国民謡が登場する前までは、トロットは非常に人気のある曲でした。
1950年代の朝鮮戦を経て、悲しみと別れを胸に秘めた力強い感情が、トロットに込められていたからです。
この頃、韓国人の感情を反映したトロットが徐々に普及し、日本のお飾りではなく、韓国音楽史の正式なジャンルとして受け継がれました。
朝鮮戦争後の愛、別れ、故郷への思い、地域的な特徴を体現できる歌詞、さらには韓国の方言、スケール、メロディーを感じることが出来るこの時のトロットは、現代のKPOPに比べて、歌手の感情が大きく反映されており、音の高低の変化があまりないのが特徴です。
李海燕(イ・ヘヨン)
断腸のミアリ峠(1954)
トロットの暗黒時代
MBC《大学歌謡祭》(1988)
1970年代から1980年代にかけて登場した民謡は、当初分派や非主流のトロットとして認識されていましたが、民謡の急速な発展により、トロットにとって危機的状況になりました
当時、社会運動が急増し、韓国人は「我が国はもっと良くなる」という感情に溢れ、旧世代の哀れみや悲しみの代名詞とされたトロットは自然に衰退していきます。
そして、この傾向は1990年代さらに深刻になり、韓国のトロットにとって最大の暗黒時代と呼ばれています。
当時「トロットの首長」と呼ばれた歌手たちもトロット色が少ないアルバムを制作し始め、ダンス、ヒップホップのグループが誕生し始めました
韓国音楽界は10~20代の青少年たちが主導となり、21世紀に入ってKpopブームに発展していきます
トロットの復活
トロットは完全に消えたわけでなく、韓国のトロット音楽を制作しようと多くの歌手が努力してきましたが、哀切なイメージや中高年スタイルが韓国人の考えに染みついており、若いトロット歌手のリリースは中断され、中年の歌手だけがトロットの命脈をつないでいる状況でした。
張允瀞(チャン・ユンジョン)
天よ!(2004)
しかし21世紀になって状況は一変し始めます。
20歳でデビューしたチャン・ユンジョンは、24歳のファーストアルバムをリリースしたとき、韓国の伝統的な音楽を取り入れ、高い人気を博しました
また、パク・サンチョル、パク・ヒョンビン、ホン・ジニョンなどの歌手が登場して、長い間陰に隠れていたトロットを再び活発にします
トロットの新しいピーク
イム・ヨンウン
出典:TV朝鮮
インターネット世代が到来し、トロットはオーディション番組やバラエティーなどで、世代を問わず拡散され、面白い歌詞、楽しいリズムは全世代の共感を呼びました
トロットを歌う人々の爆発的な人気と相まって、この「古い文化」は、トレンドを生み出す若者世代の間にも広がり始めました!
調査によると、インターネット上でのトロットの言及数は、2017年から2018年まであまり変化がありませんでしたが、2019年以降、13万6000件から24万4000件に急増。
またトロットの検索件数は10倍近く急増し、37万9000件を記録しました
人気の番組には必ず誰かしらのトロット歌手がゲストで登場し、2020年、どの番組を見ていてもトロット歌手を見ない日はありませんでした!
ユ・サンスル
「놀면뭐하니?(遊んだら何する?)」や「내일은 미스터트롯(明日はミスター・トロット)」などのヒット番組もトロット文化を再び最高潮に引き上げます。
特に「ミスター・トロット」は35%を超える視聴率を獲得しました
ユ・ジェソク扮するユ・サンスルやイム・ヨンウンなど新世代や、カバー曲などが注目を集めた後、このレトロで昔懐かしい音楽が韓国で正式にトレンドになり始め、多くのベテラントロット歌手も新たな注目を集めています
ナ・フナ
出典:KBS
「トロットの皇帝」として知られるトロット歌手、ナ・フナは、15年ぶりにKBSで2020年秋夕特集コンサートを開催し、歴代最高視聴率を記録
視聴率はプサン38%、ソウルも30%を超えました!
トロットのこれから?
一方、トロットが今、韓国の中で一時の人気で次第に無くなっていくのではないかという懸念の声もあります
2020年から急激に増えた多くのファンがトロットブームて活躍している特定の歌手に対して反応しているのであって、音楽のジャンル自体が好きという人はあまりいないからです。
トロット音楽の先頭に立ったプログラムは好評を得ましたが、徐々に視聴率が低下しているのもこれを裏付けています。
「ミス・トロット」と「ミスター・トロット」の大成功の後、各テレビ局は先を争って似たようなトロットオーディションを企画しています。
相次ぐオーディション番組で人材が底をつき、プログラムの寿命を縮めている中、最近、トロットのオーディションも相次いでおり、アイドルオーディション番組のような足跡をたどるのではないかと不安の声が上がっています
イム・ヨンウン
出典:TV朝鮮
「PRODUCE 101」の成功に続いた「TheUnit」「MIXNINE」「Under Nineteen」などの番組プログラムは、「ミス・タロット」と「ミスター・タロット」が作成された今と同じだとみなすことが出来ます。
しかし、世界国々の歴史や文化も同じように、時間が経てば経つほど、衰退したり変化していきます。
このような美しい韓国歌謡文化を消すまいと、積極的に再創造し、大衆の人気を引きだしました。
そして今のトロットブームが収まった後が、次のトロット復活の焦点なのではないでしょうか?
今のKPOPアイドルたちが、トロットを受け継いでくれることに期待です
以上、韓国のトロット文化のご紹介でした!
トロットという音楽ジャンルの起源について参考になれば幸いです
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