韓国の若者のブランド消費
カバンはグッチ、靴はバレンシアガ、なのにお昼はコンビニのおにぎり?!
こんにちは
韓国人が毎日お伝えする
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皆さんはブランド品をどのくらい持っていますか?
韓国では元々は高級ブランド品は経済力のある中高年層やお金持ちのものだという認識でした。
しかし最近は20~30代の若い世代だけでなく、10代までも韓国のブランド消費の主体になっています
今回は韓国の若者のブランド消費の実態とその理由についてご紹介します。
韓国のブランド消費の実態
出典:연합뉴스
皆さんは「オープンラン」という単語を聞いたことがありますか?
オープンランとは、デパートの売店のオープンと同時にショッピングをするために走ることを言います。
去年から韓国でいきなりブランドの人気が高まったことから、デパートの入口にはオープンランのために並んでいる人をよく見かけるようになりました
出典:뉴시스
さらにはオープンラン代行アルバイトまでできました!
平均的に1日10万ウォンで、依頼人が希望する商品の購入に成功すると、インセンティブで30万ウォンを追加でもらうそうです
出典:GQ Italia
グローバル市場調査業者ユーロモニターによると、2020年全世界のブランド市場は19%低下したのに対し、韓国のブランド品売上は125億420万ドルと規模が大きくなったと言います!
このように韓国は2021年、世界最大のブランド市場の内の一つであるドイツを抜かして世界7位規模のブランド市場となりました
このような変化には理由があります。
それはMZ世代と呼ばれる若者のブランド消費量が急激に増加したためです
MZ世代とは1980年代から2000年代の初めまでに生まれた世代のことを言います。
つまり現在の韓国の10~30代を指している言葉だということです。
韓国のロッテ百貨店の20~30代ブランド売上率は2018年38.2%、2019年41.4%、2020年44.9%で、年々増加していることが分かります
新世界百貨店の20~30代ブランド売上率もすでに半分以上です!
ブランド輸入車も同じです。
ブランド輸入車は去年韓国市場で歴代最多販売量である約27万台と国内シェア約16%を記録しました
そしてこの輸入車を一番多く購入した年齢も30代だといいます。
20代と30代を合わせると約40%ほどだそうです
もっと驚くことは、このようなブランド消費が10代にも影響を及ぼしているという事実です
BTSの「SPINE BREAKER(등골 브레이커)」というタイトルの曲をご存じですか?
SPINE BREAKER(脊髄ブレーカー / 등골 브레이커)は、約10年前に韓国の青少年たちの間で50~60万ウォン程のTHE NORTH FACEの中綿コートが流行した時に作られた単語です。
子供に高い服を買わなければならないため、脊髄が曲がるほど仕事をしなければならないという意味から作られたそうです
しかし最近のSPINE BREAKERは10年前のSPINE BREAKERよりももっと進化しました!
10代の子供が何十万、何百万ウォンのブランド品を欲しがっているんです
去年、制服ブランドであるスマート学生服が中高生を対象に行った調査では、56.4%が「ブランド品を購入したことがある」と答えました。
さらにアルバイト専門プラットフォーム「アルバ天国(알바천국)」が去年行った調査では、10代の33.6%がチュソクにもらうお小遣いで新しいブランド品を購入する計画だと回答したそうです!
チュソクについて詳しくはコチラ
出典:유튜브 한별 hanbyul
おかしな点はほとんどのMZ世代は、このようにブランド品を購入するほど経済的に状況がいい訳ではないということ。
まず、10代は学生であるためブランド品を購入する能力はなく、両親が購入してくれることがほとんどです。
またはお小遣いを集めて買ったり、アルバイトをして買ったりすることが多いです!
しかし2021年基準最低賃金が8720ウォンなので、高級ブランド品を購入するためには10代は本当にたくさんの時間を費やす必要があります
20代と30代の状況もさほど変わりません。
統計庁MDISによると大学生および卒業生である25~39歳の人口の内、就職経験のない人が去年約32万人を記録したそうです。
ここ数年間失業率が高かった韓国でも、32万人という数字は今までの記録をはるかに超えています
運よく就職したとしても非正規雇用の場合も多く、常に雇用不安にさらされています。
さらにあり得ないほど韓国の家の購入額が上がっているせいで、たくさんの20代や30代が両親のもとから独立できずにいます。
統計庁が今年発表した資料によると、30代の未婚人口の内、両親と同居している人は54.8%にも及ぶそうです
このような状況にもかかわらず、年を取るほど年相応のブランド品を持っていなければならないという認識が強まっています。
私は20代中盤の学生ですが、ブランド品をたくさん持っている友達がたくさんいます。
もちろんそれぞれの能力に合わせて購入しているはずですが、稼ぎに対して支出が多いのも事実です
韓国の若者がブランド品に惹かれる理由
それではどうして韓国のMZ世代はブランド品を買いたがるのでしょうか?
1. FLEX文化
FLEX文化とは、自分の成功や富を他人に見せつける文化のことです。
韓国でヒップホップが主流文化となり始めてから、ヒップホップ歌手が使用した単語が韓国人の中でとても有名になりました!
普段自分が買えない高価なものを購入し、自分の価値を上げようとすることがFLEX文化です
このようなFLEX文化が基になった消費は自慢したい欲望から来ています。
MZ世代はSNS環境に慣れているため、自分がFLEX(高価なものを購入)したことをSNSにアップロードして自慢します
実際にInstagramで「FLEX」と検索すると、購入したアイテムをアップロードした投稿が約37万個(2021年6月現在)でてきました。
出典:김해뉴스
またYoutubeにはブランド品購入レビューを検索すると、10代20代のインフルエンサーが何百万ウォン、何千万ウォンのブランド品をレビューしているコンテンツもたくさんあります。
このように高価なものを購入し持ち歩き、SNSにアップロードすることがMZ世代には憧れの存在になりました
ブランド品を購入すれば、自分もそれに合ったレベルの人間になると考える傾向が強まっているようです。
2. 住宅の購入額上昇によるYOLO的消費
YOLOはYou Only LIve Onceを略した新造語で、未来や他人のために尽力せず、現在の自分の幸せを第一に考え、消費するという意味を持っています!
YOLO文化はすでに数年前から韓国で流行していましたが、最近MZ世代のブランド消費増加の原因の一つにYOLO文化を挙げる人もいます
上記で言及した通り、現在の韓国の家はとても高いです
現在ソウルのアパートの価格は大体9億ウォンを超しています。
ソウルはもちろん、ソウル近郊に家を購入することはとても難しい状況です
このように不動産の価格が暴騰したため、MZ世代はどんなにお金を貯めても親世代のように「自分の家を買う」ことができないということに気づいたのです。
実際に統計庁が発表した2019年賃金勤労職業所得の結果によると、20代の平均所得は月に221万ウォンです。
30代になると335万ウォン、40代になると357万ウォンになりますが、働いて稼いだお金だけで家を買えると思っている人はほとんどいないのが現状です
出典:시사저널
そのためMZ世代は家を買うことを諦め、現在の消費を増やし幸せを追求することを選択しました。
そしてそれがブランド消費につながったのです!
お給料の一部を少しずつ集めて、自分の生活水準を大きく超えない程度でブランド品を購入し、精神的に満足することが韓国のMZ世代の心理だと言えます
3. 消費より経験 + 中古取引市場の成長
出典:헤럴드 경제
最近韓国の中古取引市場が大きく成長しました
中古ナラ(중고나라)、ポンゲジャント(번개장터)、タングンマーケット(당근마켓)など、アプリさえあれば簡単に安価で取引できます!
自分が使ったものは販売し、他人が使っていたものを購入して使うことに慣れている若い世代は上の写真のようにブランド品も中古取引し始めました
MZ世代は1つのものを購入して長い間大切に使うよりも、物やサービスを経験することがより重要だと考えます。
そのためブランド衣類や雑貨を購入し、ある程度経験したら中古市場に売って、そのお金でまた新しいものを購入することを楽しむのです
ブランド品の場合、他の中古取引アイテムとは異なりいい値段で取引できます。
むしろ限定品や購入した時より価格が上がっている商品ならば購入した時よりも高い価格で販売することもできるのです。
このような方法の消費形態は新しい商品を買うことに対する負担を減らします。
ブランド消費の問題点
1.疎外感を感じる
1つ目の問題点は、ブランド品が買えない人が疎外感を感じることです。
特に10代の間ではブランド品の有無で階級ができ、ブランド品を買えない人は剥奪感や疎外感を感じることになってしまいます
出典:한국일보
実際に10代のYoutuberのブランド品レビューには「両親がお金持ちでいいな」、「私は5万ウォンのものも悩んで買うのに..」などとコメントが寄せられています。
現在のこのような状況を正常だと考えるのは難しい状況なのは確かです。
2. 消費の両極化
2つ目は消費の両極化の問題が生まれることです。
昔は富裕層が高価な物を消費し、低所得層が低価な物を消費しました。
しかし最近は所得が多くない人たちも何カ月もの給料を集めて高価な物を消費するため、消費の両極化の問題が発生しました!
出典:bgf 리테일
つまり高価な物を購入するために生活用品を節約するのです
1人当たり消費する金額は増える一方ですが、韓国の経済にはむしろ悪影響を与える可能性があるため、大きな問題になると言えます。
今回は韓国の若者のブランド消費について詳しくご紹介しました
いかがだったでしょうか?
韓国の若者のブランド消費は単純に無駄使いではなく、韓国の社会の状況も影響しています。
韓国社会の問題が解決して、若者がより生きやすい社会になることを願っています
ここまで、韓国の若者のブランド消費についての記事でした。お問い合わせ事項がある場合、本ブログ記事のコメント欄にご記入いただくか、help@creatrip.com までメールもしくは、公式ライン@creatripまでメッセージを送ってください。