韓国を揺るがせたミステリー宗教事件
信じがたい宗教事件4つをご紹介します。
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韓国の宗教はキリスト教、仏教、プロテスタントが多数を占めていて、宗教を信じない人もたくさんいます。
ですが「宗教」という名の後ろに隠れて詐欺などの犯罪を起こしたり、非倫理的な行動で多くの人々に被害を与えた宗教団体も少数ですが存在しています。
今回はこのような宗教という名目の下で、非宗教的な目的を持って人々に被害を与えた衝撃的な事件をご紹介します。
※以下過激な内容が含まれており、気分を害する恐れがあります。苦手な方はお控えください。
10万人を震え上がらせたタミ宣教会の携挙騒動
仁川のある産婦人科にやって来た妊婦がお医者さんに静かに中絶手術をしたいと告げ、医師が理由を尋ねると妊婦は「10月28日には子どもがいてはいけません」と淡々と答えます。
その始まりは韓国のタミ宣教会でした。
李長林(イ・チャンリム)牧師は1987年『다가올 미래를 대비하라(来るべき未来に備えろ)』という予言書を出版し、時限付き終末論を積極的に主張し始めました。
2021年の現在では当然とんでもない主張ですが、当時この本は書店のベストセラーを占め、多くの人々をタミ宣教会の信徒にしたそうです。
設立4年目にして韓国に92支部、海外に40支部を設立したということだけをみても当時の影響力を感じられます。これは韓国だけでも約10万人を超える数字でした。
予言書『다가올 미래를 대비하라(来るべき未来に備えろ)』に書かれた終末論の内容は以下の通りです。
- 1999年には地球が終末を迎え、その7年前の1992年10月28日24時にイエスが再臨して選ばれた人たちを天国に連れて行く「携挙(휴거)」現象が起きる。
- 携挙できなかった人のうち10億人は即時蒸発する。飛行機操縦士が蒸発して人々が死に、車の運転手が蒸発し街はめちゃくちゃになるだろう。
- 1999年、地球の終末前まで、残された人々は苦痛だけを受けて死ぬことになる。
多くの人がなぜファンタジー小説のような予言書を信じるようになったのか、気になると思います。
実際、当時この携挙を信じていた人の話を聞くと、李長林牧師の話す内容が「携挙になれば人々の体が上がり、とてつもなく早い速度で上昇する。」など聖書よりずっと詳しくて考えもつかなかった部分を説得力のある話し方をするので、夢中になってしまったそうです。
ですがこれは実は李長林が聖書の内容を勝手に解釈した内容でした。
出典:SBS
当時タミ宣教会が主張する「携挙」を控えた1992年10月の韓国は混乱そのものでした。
携挙の瞬間には人工的なものはすべて置いて行くという言葉を堅く信じた信徒たちは、健全な職業を捨て、不動産、現金など持っていた資産をすべて教会に献金しました。
その後はビニールハウスに集まって昼夜を問わず賛美歌を歌い、泣きながら祈ったそうです。
親が教会に行かせてくれないと言う理由で服毒自殺をする中学生や、携挙のために教会に家出した子どものための被害親団体ができたりもしました。
それでは待ちに待った1992年10月28日はどうだったのでしょうか?
韓国全体が騒々しくなると、夜12時にある携挙を前にして夜8時ごろ信徒たちも教会に入り始め、携挙を信じなかった一般人や記者、3,000人余りがタミ宣教会に集まりました。
白い服を着て賛美歌を歌い、ひざまずいて泣き、祈りを捧げ、ついに12時になりました。
11時59分58秒…11時59分59秒…そして12時!
心を一つにして時計を眺めていた信徒たちは、何も起こらず、互いに気まずく何も言えずにいたそうです。
当時の様子を生中継していたアナウンサーも「何も起きていません」と発言したそうです。
12時を過ぎると静かだったタミ宣教会の内部とは違い、外部では携挙騒動で消えた家族を探すためのもみ合いが始まります。
実際に当時のニュースで、家出した息子に対して母親が「牧師の言うことよく聞いて携挙はうまくいった?」と言って背中を殴る場面が報じられました
出典:SBS
このように信者の携挙騒動は空しく終わりましたが、タミ宣教会の牧師である李長林は信者のお金で購入した債券が発覚し、詐欺の疑いで逮捕されました。
しかし、信じられないことに10万人の生活を揺さぶった李長林に下された刑は懲役1年!
現在は改名して、また別のところで牧会の仕事をしているとだけ知られています
さらに、当時のタミ宣教会の主軸となった人物は、他の教会で終末論を起こし、物議を醸しているそうです。
五大洋集団自殺事件
この事件は1987年8月29日、京畿道龍仁(ヨンイン)にあったオデヤン(五大洋)工芸品工場で32人が一度に遺体で発見された事件です。
工場内にあった食堂の天井からオデヤン株式会社の代表であるパク・スンジャとその家族、従業員らの集団自殺が発見され、大きな衝撃を与えました。
出典:SBS
「恵まれない人と他人のために生きられるようにしてください」と涙ぐんでいた朴順子(パク・スンジャ)のインタビューは、多くの人々に感動を与え、福祉事業として保育施設を運営したりする彼女の姿は、成功した女性事業家の標本として映りました。
彼女はこのような周囲の信頼を基に80億ウォンを借りて伝統工芸品会社であるオデヤンを拡張させていきました。
ある時、債権者のA氏とその夫人は貸した5億ウォンを受け取るために工場を訪れたところ、オデヤン工場の従業員13人から突然集団暴行を受け、「貸した金を放棄せよ」という債権放棄合意書を書かされます。
開放されたあとこれを警察に届け出し、警察は暴行に加わった13人の職員と朴順子を拘束して捜査しましたが、釈放されます…。
捜査が終わった翌日の1987年8月25日、朴順子はオデヤンの職員、保育施設の子どもたちなど80人余りと共に姿をくらましてしまいました。
その後、気配を察した警察が朴順子関連の申告を集めたところ、彼女からお金を受け取れなかったという人が数百人もいて、総額数十億ウォンにも上っていたそうです。
警察はこの事件を単純暴行から大型詐欺事件に切り替えて朴順子を指名手配しました。
しかし、すでに朴順子と80人余りの人々は跡形もなく消えていました。
痕跡を探すためにオデヤン工場を訪れた時、そこにいた人はたった一人、食堂で働いていたおばさんのチャン氏でした。
チャン氏に朴順子一行を見なかったのかと尋ねても、チャン氏は「全く見ていませんが、なぜですか?」と反問しながら全く知らない素振りを見せていました。
その後1、2、3日経っても進展がなく、みんなあきらめていたその時、チャン氏から再び電話がかかってきました。
「実は探している人は皆工場にいました。でも···状態が、少しおかしいんです。」
このことを聞いて警察が訪れましたが、発見当時、32体の遺体が天井裏のあちこちにもつれあったまま放置されていました。
不思議なのは、全員が一人によって首を絞められて死んだのに反抗の跡がまったくなく、31人を殺し残った人も仕上げをするかのように自殺したという点です。
さらに警察は、天井裏で引き裂かれた紙片を見つけます。
この紙には「君だけが口を閉じればいい。」「お前だけ保安維持しろ」「4時間前から5人ほど逝った」などの文章がぎっしり書かれていました。
それではここでいう「君」とは一体誰でしょうか?
それは食堂のおばさんチャン氏でした。
警察に追及され続け、話を打ち明けたチャン氏は衝撃の事実を告白します。
「実は民俗工芸品会社オデヤンの会社社長である朴順子は実は教祖で自分たちは信徒だった」「その中で自分は最後に保安維持の役割を果たした」と白状しました。
出典:SBS
しかも、オデヤンという会社は、実は偽の会社で、実は宗教団体だったのです。
オデヤン会社社長の朴順子は一時ガンで死亡宣告を受けたが、祈りだけでこれを乗り越えたと主張し、自分を選ばれた者、オデヤンを導く救援者と表現していたそうです。
信徒を引き入れるために社会事業家のふりをして保育園を運営したりもしました。
その後、信頼を築いてから巨額を借り、債権者をオデヤンの社員として採用し、信徒にしていたそうです。
こうして大金を借り、宗教事業を続けることを繰り返していた朴順子と信徒たちは結局、莫大な借金を抱え、自暴自棄の思いで同伴者他殺を選択したと推定されます。
信徒464人を殺した白白教
韓国で宗教関連で起きた最悪の事件といえば、1920~30年代の白白教事件です。
この白白教の教祖である全庭云(チョン・ヨンヘ)は顔や体を白色の布で巻いていたそうです。
出典:映画「白白教」
「国が混乱した時に(白白教が定めた)献金をして避難所に行けば不老長生、富貴栄華を享受できる。」
このような白白教の教理を見てみると、東学(朝鮮末期に登場した宗教)、キリスト教、朝鮮後期の予言書など、様々なものが混じり合った水準の低い無論理宗教団体であることが分かります。
それでも1920〜30年代に韓国は日本の植民地支配を受けて混乱した状況だったため、当時の人々は似非宗教や異端に陥りやすく、この白白教を頼るようになりました。
出典:映画「白白教」
しかもこの白白教は、90年前にしてはかなり緻密な詐欺マーケティングを行っています。
金が貴重だった当時、あらかじめ用意した金を鉱山に植え、教祖が神秘な力で金を探し出したように人々に見せていたのです。
これを見て当時の人々は「この宗教を信じれば金持ちになれる。」と信頼を持つようになりました。
出典:映画「白白教」
それでは白白教に加入するための条件はなんでしょうか?
衝撃的な内容になります。
男性は全財産を献金し、女性は教主と性関係を持たなければならなかったそうです。
当然バカげた条件ですが、当時この条件に不満を持つ人は白白教がその人をつけて行って殺害したといいます。
さらには加入した女性たちに飽きたり、妊娠したりすればその信徒と家族を皆殺しにしました。
彼らにとって殺人は全く大きな問題ではありませんでした。
信徒があまりにも貧しく、団体内で権力争いをしてるところを警察にバレるのではと心配になり、信徒を無残に殺害しています。
つまり、信徒を管理する一つの方法として「殺人」が存在したということです。
さらに、この宗教団体の幹部らは、死んだ信者らを自転車に乗せて鐘路を横切り漢江に遺体を捨てたといいます。
いくら90年前のこととはいえ、あまりにも衝撃的ですね。
出典:OCN「구해줘(君を守りたい ~SAVE ME~)」
では、このとんでもない宗教団体の仮面をかぶった犯罪者の実体はどのようにして明らかになったのでしょうか。
父親が白白教にはまってしまったある青年によって明らかになりました。
父親が加入条件で娘を教主に捧げたことに衝撃を受けた青年は、妹が教主の性的虐待を受けていることに憤り、新聞社を転々としながら白白教の実体を告発したそうです。
その後、大々的に白白教の実体が明らかになり、教祖を除く白白教の幹部全員が検挙されました。
一人当たり約100〜200人を殺害した白白教の幹部らは皆死刑となり、逃走した教祖の全庭云は自殺しました。
連続殺人という概念さえなかった当時の韓国で大きな衝撃を与えた白白教事件は、教祖によって300件余りの殺人と400人余りの犠牲者を生んだ歴代最悪の似非宗教事件でした。
信徒と裸で踊る場所アガドンサン
アガドンサンの教祖であるキム・ギスンが初めて知られるようになったのは1970年代でした。
彼女はチュヒョン教会で信仰生活をしていましたが、ここで奇異なことがたくさん起こっていました。
信者たちを暴行することはもちろん、教会内で信徒たちと服を脱いで抱き合って踊る裸ダンス事件が社会的に大きな物議をかもしました。
また助言のために教会を訪れた同僚牧師に暴行したことが決定的な事件となり、キム・ギスンは2年6ヶ月の刑を受けて監獄で過ごすことになり、1981年にはチュヒョン教会を解散します。
しかし、これは始まりに過ぎませんでした。
出所後、キム・ギスンは京畿道に約4,000坪(約13,000m²)の土地を購入し、「アガ農場」を建てて信徒を集め、「アガドンサン」という宗教を作りました。
アガドンサンの教理を見れば事実上、プロテスタントの教理に「イエス」だけ除いて自分自身(アガヤ)を代入したことが分かりますが、解体したチュヒョン教会の信徒まで集めて規模を大きくしていきます。
アガドンサンではキム・ギスンは自分のことを「アガヤ」と呼び、ここでキム・ギスン自身は3歳の子どもなので、どんなことをしても罪にならないそうです。
上記の映像は、実際に1996年にMBCが入手したアガドンサン内で起こっている奇妙な行動を捉えたものです。
映像の中で人々は集団儀式を行っています。
キム・ギスンの賛美歌が流れ、華やかなドレスを着たキム・ギスンが、若い男性信徒たちが持つ花みこしに乗って明るく手を振る姿が本当に奇怪ですね。
それだけでなく、アガ農場は典型的な労働搾取プランテーション農場として運営されていました。
共同生活と共同作業を徹底して行っていた信徒は、昼は農場で働き、夜は工場で働き、労働力を搾取されました。
当然過労で亡くなる人も多くいたし、その過程で暴行、殺人もたくさん行われていたそうです。
そのうちにアガドンサン内で信徒3人を殺害したことが発覚し、アガドン山は没落し始めました。
1987年には7歳だったチェ君を教祖キム・ギスンを信じないという理由で一週間食べ物を与えず殴りつけ殺害します。
21歳だったカン氏は教主の息子と付き合ったという理由で殺し、果樹園管理責任者だったユン某氏も教主の言うことを聞かないとして殺害されました。
結局この事実が明らかになって核心幹部4人が拘束されます。
そして1996年12月頃、アガドンサンの被害者だと主張する約30人の元信者が検察に陳情書を提出し、その正体が明らかになりました。
しかしキム·ギスンは脱税、横領などの容疑に対してのみ有罪が認められ、懲役4年、罰金56億ウォンを言い渡されましたがそれさえも容疑なしとなり釈放されました。
信徒殺害と暴力は上記のような理由により容疑なしと言う裁判結果が出ましたが、被害者の告発が後を経たなかったため、これに対しては何か疑わしいという意見が多いです。
また、これまで多くの人たちを搾取した罪に比べてあまりにも刑罰が軽いという意見が多く、過去アガドンサンの被害者たちはこれに対して怒りをあらわにしていました。
以上、韓国内でとてつもない衝撃と混乱を与えた宗教と関連する事件4つをご紹介しました。
同じ人間が犯したとは信じられない事件も多かったですよね
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