タバン、韓国の元祖カフェについて
韓国の昔のカフェ文化と65年目運営中のタバン!
こんにちは
韓国人が毎日お伝えする
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ミョンドンに特別なスターバックスの店舗であるビョルタバン店ができました
コチラでも詳しい訪問レポートを書いていますが、ビョルタバン店という名前はスターバックスの별(ビョル:星)と洋式カフェが韓国に登場する前の韓国喫茶を呼ぶ言葉다방(タバン:茶房)という言葉が合わさって作られた言葉です。
現在韓国に喫茶店は多くは残っていませんが、最近のレトロブームにより喫茶店が再び注目を集めています。
韓国レトロの種類についてはコチラ
BTSも以前韓国式昔の喫茶店であるウルチロタバンで2021年シーズングリーティングを撮影して話題になりましたよね。
今日は皆さんに韓国の昔のタバンおよびタバン文化、そして60年以上運営されているタバンをご紹介します
韓国タバン
1. タバン文化の始まり
タバンという言葉は、茶を意味する漢字と韓国語の部屋と言う意味の방(バン:房)が合わさって作られた言葉です
しかし、お茶だけ売る所ではありませんでした!茶をはじめとする様々なコーヒーやドリンクを販売したと言います。
豆を挽いて作るエスプレッソベースのコーヒーが販売される洋風カフェが、韓国で人気になる前の韓国のコーヒーと茶文化を導いて行ったところになります
現代のカフェの元祖と言えますね!
出典: 한겨레
近代的意味のタバンが韓国に初めてできたのは、1920年代頃だと言います。
まさに日本植民地時代の頃です。
当時、多くのタバンが明洞の街と鍾路通りに集まっていたんだそうですが、1950年代半ばには明洞だけに、なんと50以上もタバンがありました
当時の韓国の貧しい芸術家たちは、タバンに集まって芸術についての議論をして文章を書いたそうです。
多くの韓国の文学がこのタバンで生まれたと言っても過言ではありません!
出版記念会、詩朗唱会、音楽鑑賞会等の文化行事もタバンで行われたと言います。
つまり、1920年から1950年代のタバンは、まさに韓国のエリート芸術の聖地だったのです
2. タバン全盛期
出典: 경향신문
以後タバン文化を老若男女誰もが活発に楽しむようになったのは、1960年代から1980年代ごろになります。
この時期には、エリート知識人や芸術家だけでなく、青年から高齢者まで、誰もが喫茶店に出入りするようになりました
エリートアートの聖地から全世代の文化空間、そしてホットプレイスに変化したのです。
出典: 웰빙뉴스
タバン以外の場所で気軽に訪問することができる文化施設がほとんどなかったので、すべての人が喫茶店に足を運びました
エリート知識人の討論の場、大学生のミーティングや合コン場所、恋人たちのデートコース、中高年の憩いの場。
このすべてを喫茶店が担っていたのです。
なので韓国には「愛は天の川、タバンで」という有名な歌もありますㅎㅎㅎ
「愛は天の川、タバンのドアの前で会って紅茶と冷たいコーヒーを飲みながら、毎日同じ歌を聞いて来るね」というかわいい歌詞の歌です
出典: YouTube ebs culture
この時は、携帯電話がなかった時代なので人と会う約束をしたときは確実に決めておいた所、時間に向かうことが重要でした。
入れ違いになったり、タイミングが合わなかったりしたら会えなくなります
なので多くの人が約束をするとき、タバンに場所を定めるのが一般的でした。
先に来た人が中で飲み物を飲みながら待っていることも出来るので!
これによってタバンの名前自体が「約束のタバン」であるお店もとても多かったそうです。
出典: 국제신문
集まって飲み物を飲みながら話を交わすという点で、今日のカフェと同じように見えますが、喫茶店は現在のカフェよりももっと文化空間に近い感じの所でした。
出典: pet paper
特にこの時期には、音楽を鑑賞することができる「音楽タバン」という所がたくさん存在し、大流行を迎えました。
今は誰もスマホさえあれば簡単に音楽を聴くことができますが、当時はレコードプレーヤーがあってこそ音楽を聞くことがでたので、音楽を聞くために人々が音楽喫茶店に向かったそうです
出典: 경향 신문
音楽タバンの一角には、窓ガラスが重ねられたミュージックバックスが設置されていて、その中に音楽タバンDJがいました。
当時の音楽タバンDJは、その地域でアイドル級の人気を誇っていたとされています
紙にお話とリクエスト曲を書けば、音楽タバンのDJがコメントと一緒に多くのLP盤(レコード)の中からリクエストされた音楽を流してくれたそうです。
今で言うラジオみたいですね
3. タバンのメニュー
タバンコーヒー
出典: YouTube msg
現在一般のカフェで販売しているエスプレッソベースのコーヒーとは異なり、タバンで販売していたコーヒーは、インスタントコーヒーでした
出典: mbc 강원 영동
タバンで販売していたコーヒーは、インスタントコーヒーの粉を活用して作られたものだったのです。
コーヒーの粉、プリム(クリープのようなもの)、砂糖の比率をよく合わせて入れることが重要でした。
人によって好きな味が少しずつ異なるため2:2:2や、2:2:3のように好きな比率を言えば、その割合で作ってもらえたそう
サンファチャ
サンファチャはキバナオギ、シナモン、甘草のような薬剤として使われる材料の粉をお湯に入れた後、ナツメや松の実を浮かべ、その上に卵黄を入れて飲む漢方茶です。
卵黄が浮かんでいるのが不思議ですよね?熱いサンファチャで卵黄が少し熟したとき、卵黄をすするようにして食べます
卵黄を食べた後にサンファタンを楽しみます。
現在でもご老人に愛されている飲み物で、簡便なスティック粉としても売られています。
このサンファチャは疲労回復や体を温めるのに大きな効果があります
ウィスキーティー
ウィスキーーティーはウィスキーや紅茶をブレンドして飲む酒飲料でした
ウィスキーをショットで飲むのは価格的に負担が大きいため、紅茶にウイスキーを入れて販売されるようになったのです!
4. 消えてゆくタバン
出典: 유튜브 14f
タバンは90年代にコーヒー自動販売機の普及、エスプレッソベースのコーヒーを販売するコーヒーショップの一般化により、段々とその姿を見せなくなっていきました。
さらに、1999年度には梨大にスターバックス1号店ができて、コーヒーのテイクアウト文化が流行するようになり、タバン文化はますます目にすることがなくなっていきました。
それとともにタバンは不法性売買店に変わって行ったりもしました...
喫茶店の女性社長はマダム(madam)と呼ばれており、女性従業員をレジ(ladyを当時韓国の発音で呼んだもの)と言いました。
当時レジの代表的なイメージは、バイクに乗って魔法瓶にコーヒーを入れてコーヒーを配達するようなものでした。
上の写真の映画のシーンのようにレジは、コーヒーを配達した後、飲み物を注文した人の話し相手になってあげたりしていたそうです。
ここで売春業者に変質してしまったタバンは、追加料金を出されれば性売買をしました。
そんなタバンをチケットタバンと呼んだりします。
現在でもこのように喫茶店という名前を使って不法性売買をする店が多く残っていると言われています。
このような怪しい看板のお店もよく見かけます...。
5. 現在でも
残っているタバン
しかし!以前と同じ姿でその場所を守っているタバンもあります!
最近では、BTSが乙支路(ウルチロ)で40年近く運営されているウルチタバンで2021年シーズングリーティングを撮影しました
ロケ地ツアーはコチラ
今回、喫茶店の雰囲気をお見せするため1956年から65年目に突入したハㇰリムタバンを直接訪れてみました。
ハㇰリムタバン
住所: 서울특별시 종로구 명륜4가 대학로 119
(ソウル鐘路区明倫四街大学路 4街119)
時間: 10:00-23:00
ハㇰリムタバンは若さ溢れる文化の街として有名な大学路(テハンノ)に位置しています。
恵化(ヘファ)駅3番出口を出て1ブロックだけ進んでいくと2階にハㇰリムタバンを見つけることができます。
ハㇰリムタバンは大学路で最も古いお店であり、全国でも3番目に古いお店です
韓国の多くの文学家、音楽家、俳優などが愛した空間であり、韓国の民主化運動を主導した大学生がよく訪れたタバンでもあります。
ドラマ『星から来たあなた』のト・ミンジュン(キム・スヒョン)の常連カフェとしてもよく登場しました。
1階のガラス扉を押し入ると木でできた細い階段が登場します。
歩くたびに階段のきしむ音がすることからも歳月の流れが感じられました
古い木製のドアを開け入ると、広がるこの景色がまさに60年の歳月を誇るハㇰリムタバンです!
平日昼間の時間であったにもかかわらず、お客さんがかなりたくさんいました。
お年寄りの方がいらっしゃるかと思っていたのですが、老若男女様々な人がいました
午後の散歩に出てこられてような中年の方、両親を連れてきた娘、デートに来た20代カップル、オンライン講義を聞く大学生まで本当に様々な人がハㇰリム喫茶店でゆったりした時を過ごしていました
レジ台の後ろにはとっても多くのLP盤(レコード盤)が並べられていました。
ハㇰリムタバンでは美しいクラシック音楽が流れていたのですが、このLP盤が使われている空間コーヒーを飲むことができると思うと本当に期待が高まります
天気が良くて日差しも強かったのにもかかわらず、店内は明るいと感じられませんでした。
全体的に明るくない照明を維持しながら、どっしりとした感じのウッドトーンの家具で構成されているためか、古いお店にもかかわらず古いと言う印象より高級そうな印象を受けます
店内の一方は大きな窓を通して大学路の風景を見ることができようになっていました
天気が良いからなのか窓側の席が最も人気が多かったです!
この写真は、1988年に撮影されたハㇰリムタバンの窓側の席の写真です。
カーテンと照明が変わっただけで、他はすべて、そのままですね
お店の奥の方に『星から来たあなた』のト・ミンジュン常連席も見つけることができました
お店の左側にある小さな階段、そこから上に上がると、ロフト席も用意されていました。
2階から見下ろしたハㇰリムタバンの様子です。
このように大きなテーブルと柔らかいソファ、木製のアンティークデザインのインテリアがまさに喫茶店のシグニチャーと言えます。長い間ゆっくりと休んで行くのに最適な空間に見えませんか ?
ハㇰリムタバンを30年目守っている社長さんが出版された写真集もありました
注文したメニューが出てくるのを待ちながら見てみました。
似ていながらも違うハㇰリムタバンと大学路の風景が本当に不思議に感じられました!
ハㇰリムタバンの姿はそのままですが、メニューは現代的に変わったことを確認できました。
一般的なカフェで見られるエスプレッソベースのコーヒーや、伝統茶、その他の飲料、そして簡単なお酒も販売していました!
昔からずっと販売されていたメニューはウィーンコーヒーや漢方茶、パフェなどがありました
今回はハㇰリムタバンで最も人気のあるメニューであるビエンナコピ(ウィンナーコーヒー)とクリームチーズケーキのブルーベリー味を注文しました
ビエンナーコピ KRW6,000
ビエンナコピ(ウィンナーコーヒー)は、韓国のカフェには必ずと言っていいほどある、アインシュペナーです。
一般的なアインシュペナーと異なる点は、ハㇰリムタバンのものはアメリカーノベースではなく、ラテベースコーヒーの上にクリームがのせられているものでした
とっても濃い目のクリームが本当に分厚くのせられていて驚きました。
クリームがこっくりしていて甘いので口に入れた瞬間とても幸せになる味わいでした
しかし、甘い飲料をあまり好まない方であれば、甘すぎて口に合わないかもれません。
クリームチーズケーキ KRW6,000
一般的に考えられるチーズケーキのビジュアルとは違いますよね?
私も最初はチーズケーキより牛乳プリンや絹ごし豆腐が出てきた?と思ってしまいました
横にあるジャムはブルーベリージャムです
ブルーベリージャムとオレンジジャムの中から選択します。
スプーンで一口すくうと見た目のつやつやしているのとは違い、とっても重たい質感のチーズケーキでした
甘いながらもギリシャヨーグルトのように少し酸味があって、ブルーベリージャムととてもよく似合う味でした。
今回は韓国のカフェの始まりであるタバンについて調べ、60年以上の古い歴史を持つタバンにも行ってみました。
ドラマでだけ見たことがあり、両親に話だけ聞いていたので、実際に体験もすることが出来てとても楽しかったです
皆さんも次回に韓国にいらっしゃったら韓国の古いタバンを訪問てみてはいかがですか?
乙支路(ウルチロの)のタバンと大学路のハㇰリムタバンがおススメです
ここまで、タバン、韓国の元祖カフェについての記事でした。お問い合わせ事項がある場合、本ブログ記事のコメント欄にご記入いただくか、help@creatrip.com までメールもしくは、公式ライン@creatripまでメッセージを送ってください。