logo

韓国での中絶について

韓国では66年間中絶が違法とされてきました...

Haemin Yim
2 years ago

韓国文化、韓国社会、堕胎罪、中絶

こんにちは  

韓国人が毎日お伝えする
最新韓国旅行情報Creatripです!


韓国では66年以上にわたって中絶は違法として堕胎罪が存在していました。

韓国では母親の権利よりも胎児の権利をより重要視してきたためです  

ですが2019年4月、韓国の憲法裁判所は堕胎罪が違憲だと宣言し、2020年末までに改正案を出す命令をしました。

あれから3年以上たった韓国では堕胎罪はどのようになったのでしょうか?

今回は韓国での中絶についてご紹介します  


*本稿は、韓国憲法裁判所の堕胎罪憲法不合致判決により、堕胎に対する韓国における議論及び現状などを事実に基づいて作成しました。個人的な意見は本稿に含まれていません。


  Our instagram

  Creatrip Youtube


韓国の堕胎罪の歴史

1. 韓国の堕胎罪

韓国文化、韓国社会、堕胎罪、中絶

出典:뉴시스

2019年4月11日、韓国憲法裁判所は妊娠中の女性が中絶をした場合、1年以下の懲役または200万ウォン以下の罰金とする刑法269条「自己中絶罪」の条項は違憲であると判断しました。

違憲判決により現行の堕胎罪条項の効力は、2020年12月31日まで期限付きで維持され、その前までに法律改正案を提案する必要がありました。

しかし改正が遅れ、2021年に自動的に効力を失うことになります  


2. 堕胎罪が違憲となった経緯

韓国文化、韓国社会、堕胎罪、中絶

出典:연합뉴스

韓国では60年以上前から堕胎罪が存在しています。

2012年にも堕胎罪について判決が行われ、4人の裁判官は堕胎罪を違憲としました。

しかし残りの4人は「胎児と母体は違う命であり、法律上では人類の命の保証が最優先だ」として合憲となり、刑法第269条および270条を維持します  

その後2019年に堕胎罪について再び裁判となり、9人の裁判官のうち4人が合憲ではないと判断、3人が違憲と判断し女性の自己決定権を侵害しているという結論が出ました。


3. 堕胎罪が違憲となってから

韓国文化、韓国社会、堕胎罪、中絶

出典:경향신문

2019年に違憲判決が下されたにもかかわらず、韓国の国会は判決を無視し中絶を犯罪としたことから女性の間で不満を引き起こしました  

議会立法団体は「妊娠22週目前後まで中絶する権利は尊重されるべきである」と述べ、中絶に期限を設定しました。

他にも堕胎罪を完全に廃止する法案や24週目まで許可する法案、10週目まで許可する法案などが提案され、議論は難航。

結局2020年の12月31日まで明確な判決が下されず、失効することとなったのです  

幸いなことに刑法269条第一項(妊婦の堕胎罪)と270条第一項(医療従事者の中絶の助け)が失効されたため、新しい法案が決定される前までは中絶は罪に問われないこととなります。

韓国文化、韓国社会、堕胎罪、中絶

しかし女性の自主的な中絶を容認している訳ではありません。

一部の人々は堕胎罪を廃止するには具体的な法の修正が必要だと考える人もいます  

医師の中絶手術を拒む権利や22週を過ぎたら殺人になるのかなど議論しなければならない問題が山積みです  


大韓婦産科学会、大韓母子医学会、大韓婦産医師会などは医師の中絶拒否権が含まれた法案の成立を求めています。

現在でも胎児が一定の期間を超えると中絶手術をしようとする医師はほとんどいません  

 

4. 韓国の女性はどのように中絶するのか?

韓国文化、韓国社会、堕胎罪、中絶

出典:민중의소리

堕胎罪はほとんど廃止されたも同然ですが、問題はたくさん残っています。

中絶薬の流通や、手術を拒む医師と中絶をしたい患者の対立など様々です  


韓国保健社会研究院の2022年6月30日「人口妊娠中絶に関する調査」によると、人工中絶手術を受けた女性は7.7%に過ぎません。

さらに自分で薬を飲んだが中絶できず、再度手術を受けた人は5.4%を占めています。

また中絶方法を把握する方法は、SNSやネット上検索が46.9%、医療関係者からは40.3%、友達や知人が34%という結果となりました  

韓国女性が中絶を必要としても、社会の雰囲気や情報の不適切さが原因で多くの問題が発生する可能性があることが分かります。

韓国文化、韓国社会、堕胎罪、中絶

出典:「私たちのブルース」

韓国ドラマ「私たちのブルース」の若いカップルもインターネットで薬を発見しました。

もしネット上で見つけた薬を飲んだら健康に問題がある可能性もあり、これは堕胎罪の盲点です  


劇中の子供はすでに24週を超えていたため、中絶がかなり難しい状態でした。

しかし時代背景が2019年以降だったので、もし中絶をしたとしても母親も医師も刑務所に行くことはありません!

韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」ではヨンウが1996年生まれだったので、もし母のテ・スミが降ろす手術をしていたとしたら当時は堕胎罪が成立しました。

そのため母親が出産を望まなかったとしても、出産をする理由の一つとなったと考えられます。



韓国の堕胎罪、意味を失う

韓国文化、韓国社会、堕胎罪、中絶

事実上韓国では中絶は犯罪でしたが、多くの人が個人的に中絶を行っています。

調査によると性経験のある女性の約10人に1人、妊娠中の女性の約5人に1人が人工中絶を経験していることが明らかになっています  


人工中絶手術を選択する理由は様々です  

主な理由としては、勉強や仕事への支障、子供を望んでいない、子供の年齢差調整などがあります。

もちろん未成年者の妊娠や性犯罪も理由の一つです。


つまり、不可抗力的な要素よりも、本人とパートナー、そして社会的雰囲気を考慮して妊娠中絶を決めているのです。

多くの韓国女性は「女性の自己決定権は守られるべきだ」と主張しています  


皆が賛成というわけではない

韓国の多くの女性は中絶の非犯罪化に賛成していますが、反対の声もまだまだあります  

「全ての生命は大切だ」「性行為に対してもう少し慎重に接近しなければならない」「避妊などの各種教育を実施した後に決めるべき」という反対意見が多いです。


最近韓国ドラマや映画などでも中絶に関わるテーマがよく提起されています。

その度に議論されているため、早く韓国の女性が安心できるような法案が可決されることを祈っています  



今回は韓国での中絶についてご紹介しました。

いかがだったでしょうか?

これから韓国で堕胎罪がどうなっていくか注目する必要があります  


  Our instagram

  Creatrip Youtube


ここまで、「韓国での中絶について」についての記事でした。お問い合わせ事項がある場合、本ブログ記事のコメント欄にご記入いただくか、help@creatrip.com までメールもしくは、公式ライン@creatripまでメッセージを送ってください。

人気記事

LoadingIcon
人気記事