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2021年に韓国で映画《ランジョン（The Medium）》が公開され人気を集めました
ランジョンではシャーマニズムが代々受け継がれている巫女家が登場します。
ニムというキャラクターは巫女になることを拒んだ姉の代わりに運命を受け入れた巫女です。
映画はニムの姪っ子ミンに異変を感じてからの出来事が描かれています。
韓国のナ・ホンジン監督とタイのバンジョン監督は、韓国とタイに共に存在する巫女を素材にランジョンを作りました。
今回はそんな巫女について、一体どんな存在なのか詳しくご紹介します
巫女（무당）
韓国の巫女は古代宗教であるシャーマニズムで霊的な存在と人間を繋げてくれる人のことを言います。
儀式を進行することによって、巫女の体に神が入り、人間と神を繋げてくれるのです。
出典: 한국학중앙연구원
巫女が仕える神は唯一神ではありません。
巫女は先祖や自然の精霊、霊などに仕え、地域ごと、時代ごと、巫女ごとに異なります。
神に対する体系的な概念なしに様々な形態の霊的存在に仕えます。
出典: 오마이뉴스
ちなみに巫女は元々は女性の使いだけを指していました。
男性の巫俗信仰の使いは博数（박수）と呼びます。
しかし現代では韓国の巫俗信仰の使いをまとめて巫女（巫堂/무당）と呼ぶようになりました。
巫女の仕事
出典: 오마이뉴스
巫女が行う儀式を韓国では「グッ（굿 ）」と言います。
グッをする時に巫女は神に供え物をし、様々なパフォーマンスを通して人間の幸福を願う役割をします。
巫女のパフォーマンスを見たことがありますか？
原色の布を揺らしながら踊ったり、座って呪文を唱えたり、ナイフのようなものや火の上で踊ったりします。
出典: mbc
グッの具体的な目的とその種類は様々です。
巫女が国家行事をする時には「国グッ（나라굿）」をしました。
韓国ドラマ「太陽を抱く月」に出てきた巫女ノギョンが国の行事をする巫女でした。
家庭や事業の繁栄のためのグッは「薦神グッ（천신굿）」と言います。
この他にも亡くなった人のための「鎭魂グッ（진혼굿）」、家庭の福のための「ソンジュグッ（성주굿）」、病人のための「病グッ（병굿）」など様々なグッが存在します
出典: 오마이뉴스
韓国でのグッに対する認識は2つに分かれます。
ただの迷信だという現代的な立場と宗教的に効果があるとする立場です。
しかしどちらの立場であっても韓国の伝統として守らなければならない文化だと考えます。
そのため現代のグッは支配的な文化ではありませんが、未だに全国的に行われているのです。
また巫女はグッを行うことで収入を得ます。
決まった価格はありませんが、有名な巫女の場合はグッを1回するのに1000万ウォン単位の大金をもらうそうです
巫女の歴史
出典: 나만의 문화유산 해설사
巫女は韓国に初めてできた国家である古朝鮮時代から存在していたと知られています。
巫女が使用する儀礼用の道具である青銅の鈴や、青銅の鏡が出てきたからです。
そして当時は政治と宗教が分離される前でした。
つまり政治的支配者が宗教的な使いの役割も果たしていたのです。
その後登場する国家である高句麗、百済、新羅までも巫女は正式的な社会階級でした。
なぜなら当時は国家が巫俗信仰に関する行事を開いていたからです
また儀礼を通して国家の未来を予言したり、解決策を提示したり、病気を治療したりする重要な役割を果たしました。
このように巫女は社会的に重要な階級であり、職業だったのです。
しかし918年から1392年まで朝鮮半島を支配した国家である高麗は仏教国家でした。
そのため自然と巫俗信仰の国家的な仕事に参加する役割が縮小しましたが、庶民への宗教的な機能は果たしていたそうです。
朝鮮時代になると儒学が国の宗教になり、巫俗信仰は無視され始めました
儒学の立場からすると巫女は宗教ではなく、土俗的で卑しい文化だと考えたのです。
妓生、奴隷、僧侶、白丁（農民）、広大（役者）を始めとする代表的な賤民階級として扱われるようになりました。
しかしむしろ巫俗信仰は一般庶民の生活の中に深く根付くようになりました。
なぜなら儒学は両班や士人などの上流階級にいた人たちに有利な学問および宗教であり、庶民にとっては共感できない部分が多かったからです。
その後日本統治時代には巫女はひどく弾圧を受けました。
日本は韓国の伝統的な物事によって韓国人が自負心を持つことを防ごうとしました。
そのため巫俗信仰を迷信や卑しいものであると弾圧したのです
出典: 인천일보
現代の巫女は大きく2つに分かれます。
しっかりした修行を遂行し韓国の伝統文化を保存する巫女がその一つです。
実際に映画《マンシン》のモチーブになった巫女キム・グムファは国家無形文化財保有者として認められています
またユネスコ世界無形遺産保有者であるキム・ユンス巫女など、韓国には今も多数の巫女が存在します。
その反面、簡単な呪術やパフォーマンスだけを真似してお金を稼ぐ詐欺師もたくさんいるそうです
巫女になる方法
出典: 오마이뉴스
巫女はなりたいからと言ってなれるものではありません。
映画《ランジョン》でも出てくるように、巫女の気質がある人は神病にかかります。
神病とは神と人間を繋げる役割ができる人がかかる病気のことです。
このような人には自然と霊が集まるために神病にかかると言われています。
神病は精神的な症状と身体的な症状が出ますが、その症状は多様です。
原因が分からない痛みや幻想などを経験すると言います
このような症状は現代の医学では治療することができません。
出典: 경향신문
神病にかかる時期は決まっていません。
神病になる兆しが全く無かった人がいきなり中年になって神病にかかることもあれば、小さい子供の頃に神病にかかることもあります。
両親や祖先に巫女がいた場合神病にかかる場合が多いそうです。
多くは神病を呪いだと考えます。
神を体に受けなければならない職業であるため、昔から巫女は大変な仕事だと考えられてきました。
そして現代では巫女を職にしたいと思う人はほとんどいません。
そのため神を受けないように「押さえるグッ（누름굿）」をします。
自分の中にある神的な気運を消すのです。
このグッが効果がある人もいますが、効果が無い人は結局運命を受け入れるのだそうです。
出典: 옥황신전
このように自分の運命を受け入れた人たちは神を体に受けます（신내림）。
運命によって決められた神を体に受け入れる儀式（내림굿）をするのです。
この儀式をしてくれる巫女を神お母さん（신어머니）または神お父さん（신아버지）と呼び、儀式を受ける人を神娘（신딸）、神息子（신아들）と呼びます。
出典: 조선일보
儀式を受けた後、神お母さんや神お父さんに様々な儀式や呪術などを学び、巫女として成長していきます。
最近は巫女になる方法を教えてくれる塾も登場しているそうです
今回は韓国の巫女文化について詳しくご紹介しました。
いかがだったでしょうか？
巫女の歴史と現在を知れて韓国に対する理解が深まったと思います。
きっと巫女が出てくる韓国ドラマを見ても、もっとうまく理解ができるはずです
ここまで、「韓国の巫女文化」についての記事でした。お問い合わせ事項がある場合、本ブログ記事のコメント欄にご記入いただくか、help@creatrip.com までメールもしくは、公式ライン@creatripまでメッセージを送ってください。
