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韓国が出生率が全世界で一番低いのをご存じですか?
最近は本当に出産をしないと言っている人が周りでも増えてきたように感じます
今回はそんな韓国の出産事情と出生率が低い理由についてご紹介します!
女性韓国の出産事情
合計出生率の減少
出典: 동아
タイトルにもあるように、韓国は全世界で出生率が一番低い国です。
上の表は国連人口基金(UNFPA)の2021年世界人口現状統計表の一部です。
表の一番右側の数値は合計出生率を表しています。
合計出生率とは、妊娠可能期の女性(15~49歳)1人が一生で産むと予想される子どもの数です。
韓国は表の通り合計出生率は1.1人であり、198か国の内198位を記録しました
上のグラフは2021年2月に韓国の統計庁が発表した資料を基に整理した、韓国の「出生児数及び合計出生率の推移」です。
左から2015年、2018年、2020年の推移を表しています。
分かりやすく表にまとめると以下の通りです。
出生児数 | 合計出生率 | |
2015年 | 438,400 人 | 1.24 |
2018年 | 326,800 人 | 0.98 |
2020年 | 272,400 人 | 0.84 |
表を見ると、韓国の出生児数と合計出生率はここ数年でかなり減少したことが分かりますね
韓国の統計庁では韓国の2020年の合計出生率は0.84であると推測しています。
既婚女性の出生率の増加
韓国では合計出生率は減少傾向ですが、既婚女性の出生率は増加現象にあります
ある統計によると2016年基準、既婚女性の合計出生率は2.23人だそうです。
既婚女性の出生率が2.0人を超えているにもかかわらず、合計出生率が1.0人を超えないのは結婚自体をしなかったり、できない人が増えているからです。
実際に統計庁が発表した資料によると、2020年の婚姻数は歴代最低値を記録しました
出典: 잡코리아X알바몬
またジョブコリアとアルバモン(韓国の求職アプリ)の結婚する予定かについての調査によると、韓国の20~30代の結婚に対する意識が大きく変化したことが分かります。
上の表の緑色の部分は「結婚しない予定だ」という人、赤色は「結婚する予定だ」という人、グレーは「未定」と答えた人の割合です。
20~30代の24.8%が結婚しない予定だ、つまり一生独り身でいるつもりだと答えました
これは4人中1人が結婚をしないつもりだということで、この数値はかなり高いことが分かります!
韓国では結婚が当たり前だと考えられてきましたが、だんだんその概念も変わりつつあるようです。
韓国の若い世代が結婚を望まない理由はなんでしょうか?
どんな理由が出生率を低下させているのか一緒に見ていきましょう
出生率が世界で一番低い理由
経済的理由
1. 家賃
1つ目の理由は韓国の家賃が想像を絶するほどの金額だからです。
家庭を築くためには家族がゆっくり休める家が必要ですが、その家を準備することすらできないのです
住居の問題によってたくさんの若者たちが両親のもとから独立すらできずにいるのに、結婚して家族の家を買うことなど夢のまた夢だと言えます。
2020年ソウルの4人世帯の平均所得が1年に約5,700万ウォンなのに、ソウルのアパートの平均価格は9億ウォンを超えています
つまり16年以上息だけして生きていかないと家を買うことができないということです。
新婚夫婦がソウルにちゃんとした家を買うことはほとんど無理に近いというのが現状なのです
新婚夫婦専用の不動産制度やローン制度がありますが、ローンでお金を借りて家を買っても長い間ローンを返すために生きなければならないのです。
2. 養育費
世界中どこでも子供を育てるのにお金がたくさん必要なのは同じです。
ただ韓国は高い教育熱により、養育費がとても高いのです
韓国の学生たちは幼い頃からいい大学に行かなければならないという目標のために塾に通います。
そしてたくさんの塾に通う費用を親がすべて負担しなければならないのです
実際に2019年基準、韓国の学生の塾に通っている割合は74.8%で、1か月に塾の費用として平均429,000ウォンを支払っているという結果が出ました。
このような状況なので子ども1人当たりの養育費はとても負担になるのです。
様々な統計によると、大学卒業まで子どもを育てるのに大体3億ウォンが必要だと言います
しかし今の若者はこの養育費を負担できるほど経済的状況がよくありません。
韓国の大学卒業者の30%が非正規雇用で仕事をしており、雇用が不安定な状態です。
このような状況で結婚をし子どもを産んでも、子どもの養育費を負担できない状況に陥ってしまう可能性があるのです
意識の変化
韓国は昔から家族中心的な文化を持っています
結婚適齢期になると、適当な配偶者と出会い子どもを産んで幸せに暮らすことが当たり前でした。
このように生きることが人生だと思われていたのです!
しかし最近は家族中心主義を個人の人生を犠牲にする生き方だと考え、そのように生きたくないと考える人が増えてきました
つまり結婚が必須でなく選択として考える人が増えてきたのです!
上記でご紹介した通り、自分から結婚しないと選択した「非婚」人口が増加傾向にあります
出典: tvN
特に女性の人権に対する問題意識が高まり教育水準が上がったことにより、女性が結婚を望まない場合が多くなりました。
お母さんやおばあちゃんの時代のように、自分の個人的な人生とキャリアを全て諦めて家族と子どものために犠牲となる生き方は非合理的だと感じるようになったのです。
実際に私が最近大学で出会った女学生の中でも結婚を考えている人はあまり多くなかったです
本当にいい人と出会った場合は結婚を考慮するが、今は結婚に関心がなく、それよりも自分の人生をどう生きていくかが一番大事だと話す人がほとんどでした。
このように結婚をして家庭を築くことが、自分のキャリアと個人的な人生に大きなリスクになると認識し始め、婚姻数が大きく減少しているのです
制度的問題
上記のように韓国内では意識が速いスピードで変化しましたが、制度と社会的な変化は未だ変化していない部分が多いです。
1. 出産、育児休暇
もちろん韓国の出産休暇と育児休暇制度はちゃんと準備されています
しかし2018年の調査によると、子どもがいる女性の中で出産休暇以外の育児休暇を使用した割合は35.8%だと言います。
つまり育児休暇制度はありますが、それを自由に使える企業環境が形成されていない場合が多いということです
また妊娠と出産でキャリアが中断してしまう女性が本当に多いです
もちろん2000年以降に妊娠と出産を理由に退職させることは法的に問題になりますが、本人にあまりよくない待遇を与え自ら辞めさせるように仕向ける場合がほとんどです。
出産休暇後10人の内2人が会社に戻ってこれず、育児休暇後には3人が会社を辞めさせられたという調査結果もあります
また男性の育児休暇はもっと難しい状況にあります。
未だに育児は女性の仕事だという認識があり、男性が育児休暇を使いたくても会社にそれをよく思われないことが多いです
会社以外でも男性が育児を専業としていると、それをよくないと考える人がほとんどです。
まるで男性が能力がなくて育児をしているかのように見る視線が本当に多いです
このように子ども産めと言いながらも、実際に子どもを産んでみると仕事と家庭の仕事を両立するしかない社会的な雰囲気が、出生率の低下の大きい原因の一つなのです
2. 長時間労働
OECD労働関連統計によると、韓国は世界で勤務時間が一番長い国家の内の一つだという結果が出ています。
2017年の資料では、OECD36か国の年間平均労働時間は1,746時間であるのに対し、韓国の年間労働時間は2,024時間だと言います。
つまりOECDの平均よりも1.7カ月多く仕事をしていることになります
結婚をしない人の場合、仕事以外に自分の個人的な人生を考える時間もないので、結婚はなおさら負担になります。
既に結婚はしたが子どもがいない夫婦の場合、子どもを産んだとしても子どもに費やす時間がないため、子供を産むことに不安を感じます
週52時間勤務、フレックスタイム制などを施行し、少しずつ変化していますが、まだ全般的な社会の雰囲気が変わるには時間がかかりそうです。
文化的理由
韓国には「ヘルチョソン(헬조선:ヘル朝鮮)」という単語があります。
地獄という意味を持つ英語の「Hell」と韓国の昔の国家である「朝鮮」の合成語で、韓国が地獄みたいで、希望がない社会であることを表している新造語です
日常化した激しい競争構造、高い物価と失業率、富の不平等など、韓国で生きていくことが簡単ではないということを、若者たちが感じているのです。
実際に韓国はOECD国家の内、自殺率1位を記録しています。
韓国の自殺率はOECDの平均よりも2倍高い数値で、一日に38人が自ら命を絶っています。
そのためたくさんの人が「ヘルチョソンで経験する痛みを子どもに感じてほしくない」、「こんな大変な世界に生まれてほしくない」という理由で子どもを産みたくないと話します。
子どもを産んで家庭を築く幸せを諦めるほど未来が明るくないと感じている人が多くなっているのが現状です
このように韓国の出生率低下の問題は、複雑な社会文化による結果だと言えます。
出生率の低下が高齢化社会に向かう深刻な問題だと指摘する意見もありますが、過度な人口による問題を解決する方法だとする意見もあります
2つとも妥当な意見ですが、何よりも重要なのは子どもを産んでも産まなくても幸せに生きることができる環境を作らなければならないということです!
制度的、社会文化的に個人も家庭でもみんな幸せに生きることができるように社会全体が変わらないといけません
韓国好きな皆さんにも、韓国社会の問題について知って考えていただける機会になったら嬉しいです
ここまで、韓国の出生率が世界で一番低い理由についての記事でした。お問い合わせ事項がある場合、本ブログ記事のコメント欄にご記入いただくか、help@creatrip.com までメールもしくは、公式ライン@creatripまでメッセージを送ってください。